新年のご挨拶:本当の人間的な生き方「自他一如」とは

 謹んで新春の御祝を申し上げ、皆様のご多幸の年となることを祈念申し上げます。

 昨年は5月に新天皇が即位され、元号が「令和」に変わりました。出典は「万葉集」からで、漢文調にすると「和たらしむ」とも読め、外務省は「Beautiful Harmony (美しい調和)」との英訳で統一し、「調和をもって世の中を平和にさせる」意味を込めているそうです。

 昨今、国外で続く戦争、紛争、テロ。国内で起きている各種凶悪事件や虐待、いじめ等々。心を痛めることが数多く日常起こっています。改めて我々の日常生活の中でもこの元号の意味をよく考えたいものです。

 9月、ラクビ―のワールドカップが初めて日本で行われました。日本代表も『ワンチーム』を合言葉にベスト8入りする大活躍でした。ラクビ―の精神は先ずお互いのリスペクト(尊敬する、相手を重んじる)することです。お互いに認め合い信頼し、調和をもって大きなことを成し遂げていく。まさしく「One for All,  All for One(一人はみんなのために、みんなは一人のために)」です。そして戦いが終わればノーサイド(試合が終われば勝利の側も負けた側もない)で、戦った相手を讃え合う。これは因果因縁で起こった事柄を恨みや後悔せずに全て受け入れて、次にやるべきことに進んでいく姿勢につながるのではないでしょうか。

 仏教の言葉に『自他一如』があります。自分と他人が一つになる。そこに本当の人間的な生き方があるのだ、と。正しくラクビ―ジャパンの『ワンチーム』がこの『自他一如』であると思います。相手の立場で何も思わず受け取る。喜び、悲しみ、苦しみ、痛み等々。相手の痛みは自分の痛み、相手の喜びは自分の喜び。無心になることによって相手と一つになれる。相手の心と一つになれる、これ正に慈悲の心です。無心になることによって相手と一つになる慈悲の心に目覚めた時、私たちは真の生き甲斐が生まれ救われるということが、仏様の教えの根本です。

 10月12~13日の台風19号によって、岩手県釜石市で予定されていたナミビアvsカナダの試合が中止になってしまいました。そこで両チームは、日本でのボランティア活動を提案。ナミビア代表は宮古市で、カナダ代表は釜石市で多くの人を助けたのです。

 翌14日に、カナダ代表のダニエル・タイリフェール・ハウマン・ファン・デル・メルヴェ選手が、Twitterに「東京の成田空港で座っていたら、また日本人の行動に驚かされた。空港の職員や一般の人ら4グループが近づいてきて、『昨日は釜石を助けてくれてありがとう』って僕に言ったんだよ。何が驚きって、釜石はこの場所から530kmも離れた場所ってこと。僕はカナダ人であることをこんなにも誇らしくて、嬉しいと思ったことないよ。あの日釜石を助けに来たすべての人に伝えたい。『僕たちは目標を達成することはできなかったかもしれないけど、違うことを成し遂げることができた』って!(@DTHVDMより和訳して引用) 」と、ツイートされました。正しく『自他一如』の心です。

 心を無心にして心穏やかに、令和の心『和たらしむ』には、禅が最適です。物質だけではなく、スマホなどによる情報などが溢れかえる現代社会には、無心になり『自己を見つめ、心をやすめる』時間が大切です。

 座禅は決して難しいものではありません。姿勢を調え、呼吸を調え、心を調えていきます。短時間でも良いので座禅を続けることで心穏やかな毎日になることでしょう。

 当院でも通年、座禅会や写経会を行っています。より良い生活を送るために、是非ご参加いただきたいと存じます。

 本年もよろしくお願い申し上げます。

  令和2年元旦          徳光院住職(元ラガーマン)

                       橋本元勝 合掌

大圓山 徳光院

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