年頭所感:尊い命を使い切る使命

 謹んで新春の祝辞を申し上げます。

 昨年は新型コロナウイルスの流行で世界中が大変な一年になりました。一日も早く収束することを祈念致します。過去にも天然痘、ペスト、スペイン風邪等々の流行で多くの方々がお亡くなりになったそうですが、当時はまだ原因がよく分からずに、大変苦労された様子が伝わっています。現代でも未知なる新型のコロナウイルスの対応に苦慮しています。科学の発展は目覚ましいですが、やはり大自然の中では人間の力の弱さを感じるところです。

 臨済宗の禅匠、一休宗純禅師は正月に「門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」と唱えながら、頭蓋骨を持ち街を歩いたと逸話にあります。「正月と浮かれているが、生老病死、また無常は、時人を待たずに近づいているぞ。ご用心、ご用心」と諭されているのですが、この『命』を当たり前に享受するのではなく、コロナ禍で、我々は大宇宙、地球の一部であり、その大いなるものより命を与えられて生きていることを再認識する機会にしたいものです。

 私たちが今生きているのは、両親、ご先祖様のお蔭だけではありません。衣食住を支えてくださっている方々、医療に携わる方々、大切な友人等々たくさんの方々のお蔭で今生きているのです。もちろん、米、麦、野菜、魚、卵、肉等の命、そしてそれを育む大地のおかげで私たちが在ることを忘れてはなりません。

 数限りないこの『命』がこの世に生を受けて、精一杯生き、お互いを支え合って世の中は成り立っています。我々は一人では生きていけません。全て知らず知らずに影響を受け又与え合って共存しているのです。見えないもののお蔭さまによって生かされ、この与えられた尊い命を使い切る『使命』があります。それぞれ与えられた立場に100%なり切っていく。無心になり、空になって臨んでいくことが肝要なのです。

 無心になって『なりきる』は、昨年大ヒットした『鬼滅の刃』でよく使われている『全集中』のことであり、全集中したとき「無」になり「空」になり大いなる力が発揮されるのです。そしてその「全集中」するために大事なことが『呼吸法』です。鬼滅の刃でも、水の呼吸、雷の呼吸、獣の呼吸、花の呼吸、炎の呼吸・・・(身体超活性の呼吸法)の呼吸により、大いなる力が得ることができ、この基本の呼吸、「全集中」の呼吸法が『座禅』であります。

 新型コロナ禍で、心身ともに休まることのない今こそ己を見つめ、心を休め、体を活性させ、心身ともに健康に生活したいものです。座禅は、姿勢を調え、呼吸を調え、心を調え、また身体のバランスを調えていきます。短時間でも良いので座禅を続けることで、「全集中」で充実した毎日になることでしょう。

 座禅は決して難しいものではありません。当院でも、通年座禅会や写経会を行っています。皆様にもご参加いただき、呼吸法によりストレスを発散し、自分自身を見つめ直し、「全集中」により充実した日々を送っていただきたいと存じます。

 皆様のご多幸をお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

  令和3年 元旦

                徳光院住職 

                    橋本元勝 合掌

 

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