明けましておめでとうございます。
皆様にとって幸多き年となりますよう心からお祈り申上げます。
昨年を振り返りますと、世界中が「ウイズコロナ」で経済活動が徐々に正常に戻る一方、ロシアによるウクライナ侵攻が終わらないうちに、イスラエルとイスラム主義組織ハマスが衝突し、争いが世界各地で起こる年になりました。
日本に住む私たちは、病気や人の死などの四苦八苦が身近で起こらなければ、一日を何気なく過ごしているのではないでしょうか。ましてや、成人し社会生活を一人で送るようになれば、自分一人の力で生きている錯覚をすることもあるでしょう。しかし平和に日々暮らせていることを我々は再認識すべきだと思うのです。
仏教の基本の教えは、「四恩」という四つの感謝の気持ちです。
父母、衆生、国主、三法(仏・法・僧)に対し報恩感謝することです。先ず父母の恩。文字通り生まれてより長く成長を見守ってくれている両親への感謝。次に衆生の恩。衆生とは生きとし生ける全てを表し、友であり、親戚であり、ご近所であり、クラスメート、会社の仲間です。三つ目に国主の恩。国とは日本国のみならず、職場や学校等の意味を含み、安心して暮らすことができる"国"作りをする天皇陛下、総理大臣、会社社長、校長先生等への恩を意味します。最後に三宝の恩。佛と佛の教えである法と、その教えを奉じる僧の佛・法・僧であり、また正しい宗教のことです。
恩という字は因の心と書きます。今ある『もと』を感謝する『こころ』が恩であり、その恩に感謝して報いる報恩感謝をし、人生を歩むことを最良とするのです。この世の中に父母があって自分が生まれ、みんながいて自分が助けられ、国があって生活ができ、三宝の恩により心穏やかに過ごせます。
お釈迦様は「因果因縁」を説かれました。物事には必ず因(原因)があり、縁があり、そして結果があると。日々善因を積み重ねていくことに努力し、この世に生まれた使命を全うすることが肝要なのです。
使命を果たすこと、それは”なりきる”ことに通じます。例えば、お父さんは「お父さん」になりきる。先生は「先生」になりきる。国主は国民が安全で楽しく暮らせる国家になるようになりきる。坊さんは正しい宗教、仏教を正しく広め、皆さんが心穏やかに過ごせるようになりきる。日々感謝し、それぞれの勤めをきちんと果たすことを心掛けたいものです。
コロナ、戦争、不況、貧困、差別、弾圧と世界中で理不尽なことが起こる中で、我々は四恩を感じ、日々過ごしていかなければならないのです。その為に自己を見つめる機会をどうかつくって下さい。
当院は通年、「座禅会」、「写経会」を行っています。皆様にもご参加いただき、自分を見つめ直し、より良い日々をお送りいただきたいと存じます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
令和6年元旦
徳光院住職
橋本元勝 合掌