令和8年度「春彼岸法要」が3月20日(金曜日・春分の日)執り行われました。当日は一昨日の降雨の影響もあってか午前中は肌寒い花冷えが残る朝でしたが、午後からは暖かい晴天に恵まれて塋地や本堂の読経回向には多数の参会者が集われました。
ご存知の通り、お彼岸が年二回開催されますが、一年の豊穣に感謝する秋とは異なり、春は新しい命の再生を象徴する「生命の芽吹き」を祝する時季でもあると云われています。今年も本院の境内には新たな命の息吹きを感じさせるかのように、春を告げる花木が再び咲き乱れました。先陣を切って咲く古風で多彩な「椿」をはじめ、雪白な「ユキヤナギ」や「ハクモクレン」、鮮黄色の輝きの「レンギョウ」や「山茱萸」、優雅で清楚な「馬酔木」等々、この寺院の景観に欠かせない存在となっています。
「ここへ来ると何となく会える気がして気持ちがやすらぐのです」
「これからも生きていくので見守って下さい」など,今日も色々な思いを込めてお参りをされています。
この命の芽吹きを祝す春彼岸の墓参を通して、先祖への感謝の念や故人との絆を再確認することは勿論ですが、人と別れることの大切さ、そして生きることの意味を確かめることによって「自己の生の経験」をより豊かにすることができるように思われます。
最近出会った新書(注)から、短歌二首発見。
・春ごとに 花の盛りはありなめど
あひ見むことは 命なりけり (古今集)
・ある時は ありのすさみに憎かりき
なくてぞ人は 恋しかりけり (源氏釈)
注 岩波新書 日本の古典を読む「老いと死の言葉」 鈴木健一著